袋物博物館

墨田区では地元の産業や文化をPRするべく、企業や区民の収蔵品を公開する「小さな博物館」運動を行っている。羽子板、足袋、桐、屏・・・・・・と展示内容は同区ならではの味のあるものばかり。先ごろ、二十五件目となる「袋物博物館」が加わった。
 創業大正三年。皮革製袋物製造販売の老舗、東屋が、もとは作業場としていた二階部分、六十六平方メートルを展示空間に改装した。江戸時代後期の煙草入れをはじめ、大正時代に使われていたミシンや作業道具、一九五〇年代から現代までの同社製品の札入れや小銭入れなどが紹介されている。 
 アットホームな雰囲気に包まれた「小さな博物館」の魅力はここでも例外ではない。展示品は五十余点、会館は午後のみと、小ぢんまりとはしているが、三代目社長だった(本当は四代目の誤りです)八十一歳の館長木戸好子さんや、好子さんの長女で社長夫人の一江さんの心温まる対応も印象に残る。開館早々に煙草入れの熱烈なファンが来館し、袋物談義に花を咲かせていったそうで、今後は情報交換サロンとしても育っていきそうだ。
「展示品の数は少ないですが、来てくださる方には楽しんでいってほしいので」と好子さん。「展示品を徐々に増やしながら、せっかくなので、年に一度は展示品を替えようと計画中です」窓の外をながめれば、すぐ横に竪川流れ。下町情緒たっぷりの地区で、周囲の「博物館」ともども楽しみたい。
(「東京人」04年7月号 掲載)